NHKの秋の朝ドラ「スカーレット」がいよいよ始まりました。
戦争が終わり、大阪から滋賀県の信楽(しがらき)に移り住んだ少女の川原喜美子が
信楽焼に惹かれて、男の世界と言われた陶芸の道に一人で飛び込んでいきます。
その後、波乱に満ちた人生を送りながらも、己の世界を窯で切り開こうとする物語です。
この記事では、「スカーレット」のタイトルの意味と登場人物の関わりを中心に
ドラマをみていきます。
朝ドラ「スカーレット」のタイトルの意味
スカーレットとは色名のことで緋色です。くすんだ黄色がかった赤で、本作では陶芸の色の
ことを指しています。
スカーレットは緋色のこと
スカーレットの意味については、
番組の公式サイトで次のように述べられています。
緋色(ひいろ)のこと。伝統的に炎の色とされ、黄色味のある鮮やかな赤。
緋=火に通じ、陶芸作品に表れる理想の色のひとつである。
主人公の生業(なりわい)である陶芸では、窯をたく炎が勝負。熱く燃えるような、情熱的な人生につながる。引用元:NHKスカーレット公式サイト
スカーレット=緋色=陶芸の理想の色
と定義付けています。

引用元:twitter
陶芸の色は、
主人公の川原喜美子が男の世界の陶芸に一人で飛び込み、人生のすべてを失いかけても
信楽焼きに情熱をかけて独自の作品をつくっていく姿をあらわしているのだと思います。
喜美子の何事にも負けない心の強さや熱い思いも重なりますね。
第一週を見ても
幼少の頃から男の子に喧嘩を売る一方で、絵を書くのが好きで
居候のおじさんが家を出ていった時に涙する
「気が強くて、クリエイティブで気持ちが優しい子」
なんだと感じました。
喜美子にはこれから困難がいくつもおとずれますが、持ち前の努力と根性でぶつかり、
生まれ持った絵の才能を陶芸に転嫁させて、自らの人生の誇りを築いていく
ことと思います。
実は、主人公の人物像は、信楽焼の女性陶芸家の草分け的存在である神山清子さん
の半生を参考にしています。
神山清子さんとはどんな人なのかみていきましょう!
スカーレットと神山清子さん
神山清子さんは、幼少の頃は虐められたり、学生を卒業して陶芸の道に入ろうとするも
幾多の困難に閉ざされかけながら扉をこじ開けて陶芸家を志します。
そして我が子の命を落としてもくじけず、今も陶芸家と骨髄バンクの普及活動を続け
られています。
このような逆境に負けない心の強さと情熱を持った陶芸家の生き様が番組のイメージと
重なり陶芸の「緋色=スカーレット」が導かれたのではと思います。

引用元:産経ニュース
神山清子さんの半生を振り返っていきましょう。
神山清子さんの幼少時代~学生時代~修行時代
清子さんは旧姓が「金場」であることや、母が作る服が朝鮮人の服と似ていたため
学校で虐められていました。
滋賀県の日野町から信楽町に引っ越しして父親は山を買い亜炭の採掘をおこないますが
うまくいかず、薪を陶芸家に売るようになります。
清子さんは、絵が好きで、美術大学を志望するけれども父親から反対され和裁・洋裁
学校に入ります。
しかし、絵を描くことは諦められず、信楽焼の一番の絵付け師に弟子入りしようと
し、何度も断れた末、別の絵付け師を紹介されて弟子入りします。
その後は、雑用ばかりで絵の描き方は教えてもらえず、見よう見まねで絵を描いて
いくも、師匠が物を投げつけるような人だったため、ほどなく辞めてしまいます。
就職~結婚~陶芸家
学校を卒業後は陶器製造会社に就職し、デザイン部に配属され絵付けとクラフト
デザインを学びました。教えてもらう身なので深夜まで働き、化粧などしたことが
なかったそうです。
ここで転機が訪れます。中学の時に1年上で美術の賞の1位を競った神山易久さんが
デザイン部に移ってきて、絵を褒めてくれる易久さんと恋に落ち結婚します。
結婚後、一生懸命10年間仕事をしてきましたが会社が経営不振になり退職を決意します。
ある時、信楽焼で食器がつくれないかと考え皿を焼き始めて、これが「編み込み皿」
という清子さんのオリジナルの手法でした。
こうした食器を知り合いから公募展に出すよう勧められると日本クラフト展や朝日陶芸展に
入選し、女流陶芸家の道をあるき始めることになります。
最初は借金をして電気釜を買い、その後、夫と2人で仕事をする中で古代穴窯に
似せた「寸超窯(ずんごえがま)」を作り陶芸品が売れ始めますが、
夫が調子に乗り、弟子と不倫関係になってしまって、結局離婚してしまいます。
長男の白血病と骨髄バンク
長男の賢一が何気なく窯で拾った陶器の破片が運命を変えます。
それは、古代の自然釉(しぜんゆう)でとても綺麗な色で、これを再現しようと何もかも
つぎ込み最後の最後で16日間焼き続けた窯から自然釉をつくりあげます。
これを「信楽自然釉」と名付けます。古代の信楽焼の再現がメディアに取り上げられて
全国に名前が広がっていきました。

引用元:Buyee
しかし、幸せは長くは続かず、長男が白血病で倒れてしまいます。
ドナーを探すための「神山賢一くんを救う会」をつくることになりますが、血液検査の
料金がかさみ借金で会は解散することになります。
だが、清子さんと賢一さんは諦めず活動し、その後念願だった「骨髄バンク」が
設立されました。
しかし、努力のかいなく、長男、賢一さんは亡くなってしまいました。
清子さんは、現在も陶芸家と骨髄バンクの普及活動を続けています。
スカーレットのキャスト
スカーレットは「緋色」で陶芸の理想の色をあらわしています。
神山清子さんの作品から考えると「信楽自然釉(しがらきしぜんゆう)」がつながるかも
しれません。
タイトル「スカーレット」とキャストの関連
すなわち主人公の川原喜美子の陶芸人生に関わる登場人物を見ていきます。
キャスト
川原喜美子 役 戸田恵梨香
貧しいが楽しい幼少時代を過ごす姿が描かれ、負けん気の強い勝ち気な性格のようです。
絵が好きで、後に陶芸の道を歩きだしますが、苦難が待ち受けていそうです。
3人姉妹の長女。9歳で滋賀・信楽に移り住み、地元の信楽焼に触れて育つ。幼い頃から貧しい一家を支える働き者。男性ばかりの陶芸の世界に飛び込み、女性陶芸家の草分けとして歩み始める。お人よしな性格で、周囲に頼られることが多い。特技は絵と柔道。
引用元:yahooテレビ
川原常治 役 北村一輝
家族を貧乏生活に追い込み、借金取りが家までくるなど娘の喜美子にも怖い思いをさせて
しまいます。お父さんは陶芸の道を応援してくれるのでしょうか?
喜美子の父。大阪出身。小学校卒業後、商家にでっち奉公に出る。山っ気があり、いろいろな商売に手を出してきた。見栄っ張りで人がよく、金が全く身につかない。借金から逃れるために一家で信楽へ移り住んだ。
引用元:yahooテレビ
川原マツ 役 富田靖子
母親は温和な性格で頭が良く和洋裁ができる器用な人のようです。喜美子の絵や陶芸のセンスは
母親ゆずりかもしれません。
喜美子の母。大阪・八尾の大地主の娘。商売で実家に出入りしていた常治と駆け落ち同然で結婚する。穏やかでおっとりした性格。和洋裁の腕があり、学問もできる。体が弱く、働き者の喜美子を頼りにしている。
引用元:yahooテレビ
熊谷照子 役 大島優子
喜美子と真逆のキャラクターでお嬢様でワガママそう。もしかすると喜美子が将来、窯を借りて
作品をつくるかもしれません。
大島優子さんは、久しぶりのテレビドラマ出演なので楽しみです。
喜美子の幼なじみ。信楽で一番大きな窯元「丸熊陶業」のお嬢さま。プライドが高く、勝気な性格で、ちやほやされる割に友達ができない。転校生の喜美子に興味を持ち、一緒に柔道を習うなど、仲が良いのか悪いのか分からない不思議な関係。
引用元:yahooテレビ
大野信作 役 林遣都
喜美子の幼なじみの男の子。もしかすると、この人と恋愛関係になるかも?
喜美子の幼なじみ。信楽の「大野雑貨店」の一人息子。気が弱く、引っ込み思案な性格。器量よしで照子からさかんにアピールされるが気付かない。成長後は大きな変化を遂げ、喜美子を驚かせる。
引用元:yahooテレビ
草間宗一郎 役 佐藤隆太
喜美子へ柔道を教えてくれる人のようです。柔道を通して精神力が鍛えられ度胸ついてきた
のではないかと思います。
また、一つの道を学ぶことで、陶芸の道も困難に負けない心にも影響していると思います。
謎の旅人。ふとしたことから常治が信楽に連れてきて、川原家の居候になる。戦時中は満州におり、日本で空襲にあって行方不明になった妻を捜している。信楽を去ってからも喜美子の前に現れ、新たな道を選ぶきっかけとなる。
引用元:yahooテレビ
相関図
公式のものを引用しています。
それぞれの関係の詳細は、もう少し回を重ねると明らかになっていきます。
草間宗一郎が柔道の師匠ということになるのかまだ分かりませんが、喜美子の人生にとって
大切な出会いをする人だと思います。

引用元:熱血!!ドラマ部
スカーレットのあらすじ
戦後まもなく、大阪から滋賀・信楽に移り住んできた川原一家は貧しく、父親の借金取り
に追われるような暮らしでした。
3人姉妹の長女の喜美子は絵が得意で、がんばり屋さんです。
喜美子は幼いながらも病気がちな母を手伝い一家の働き手でした。
15歳になり喜美子は信楽を出て大阪で就職し、新たな出会いによって成長します。
大阪で何年か過ごした後、信楽に戻ることになった喜美子は、自分が育った地元の信楽焼に
惹かれていきます。
そして、男性ばかりだった陶芸の世界に女性として一人飛び込み、陶芸家を目指して奮闘
していく日々が始まります。
喜美子は陶芸をとおしてものを作り出す情熱と喜びを身を持って体験します。
その後も度重なる失敗や挫折に負けずに生きていきます。
スカーレットのタイトルの意味は?まとめ
朝ドラ「スカーレット」の意味は、色をあらわし「緋色」で陶芸の理想の色を意味しています。
主人公の川原喜美子が人生をかけて陶芸家の道をきわめるところに由来していると思われます。
喜美子の人物像は神山清子さんの半生を参考にしており、神山さんは女性陶芸家の草分け的
存在で幾多の困難にも負けずに「信楽自然釉(しがらきしぜんゆう)」を造られた方です。
本作のキャストは、主人公が困難が続き負けない人生を描きつつ、ほのぼのとした空気感を感じ
させる人物がたくさんみられます。
物語は幼少時代が終わり、いよいよ戸田恵梨香さん演じる青春期に突入します。
毎回、見逃さないようにしましょう!